「さ〜ボード」プロジェクト
「さ〜ボード」とは
「さ〜ボード」は、セキュリティの厳しい学校のPCで、ドライバのインストールなしにフィジカルコンピューティングを可能にするデバイスです。
PC、タブレットのオーディオ入出力をインターフェースに利用し、サーボ駆動、LED点灯、DCモーター駆動を実現します。
スイッチサイエンスさん発売の「いぬボード」をセンサーとして、組み合わせて使うこともできます。
◆スイッチサイエンスマーケットプレイスで委託販売しております。
<開発の経緯>
・私は小学校で使用する成績集計ソフトの開発を仕事にしていました。開発するだけでなく、導入のサポートや使用方法の校内研修のため学校現場に赴く機会が多かったのですが、そこで直面するのが学校のPCのセキュリティの壁でした。
・成績など個人情報を扱うものですからセキュリティが高いのは当然ですが、それにしてもソフトをインストールするために管理職の先生をお呼びして、一台ずつ管理者権限で再起動するとか、それ以前に教育委員会からインストールの許可が必要だったり、光学ドライブが使用できないとか、専用のUSBメモリ以外は認識しないとか、シンクライアントなので教育センターへ行ってサーバー側にインストールしないといけないとか、いろいろな壁に手こずらされました。
・この問題は児童用のPCでも同じで、お仕着せでプリインストールされている教材以外を導入するのは手間のかかる話になります。新学習指導要領で小学校に導入されるプログラミング学習では、6年生理科でセンサーやLED、モータなど物理的なデバイスを扱う必要があります。これらに使用するソフトはデバイスドライバが必要なため、この「インストール問題」は避けて通れないことになります。
・意欲のある先生が新しい教材をインストールしようと思うと、教委の許可→40台以上のPCの管理者権限での再起動→インストール→ユーザー権限への変更という作業が必要になります。文科省は今後、3クラスにつき40台程度のPCを標準にしますので、小規模校でも80台、中規模校でも200台以上で作業することになります。
・この問題の解決策の一つが、青山学院大学の阿部和広先生が考案した「いぬボード」という製品で、スイッチサイエンスさんから発売されています。
・「いぬボード」はPCのオーディオ出力を、デバイスとのインターフェースに利用する発想です。PCのイヤホン端子、マイク端子と「いぬボード」をケーブルで接続し、Scratchなどのプログラムから「いぬボード」に音を出力すると「いぬボード」のスイッチがオンになりLEDを点灯できます。反対に「いぬボード」についている光センサーが反応するとPCのマイク端子から音が入力され、センサーが反応したとわかります。
・オーディオ端子なのでまずほとんどのPC、タブレットにはついていますし、何よりデバイスドライバのインストールが必要ありません。
・「いぬボード」だけでも、新学習指導要領に例示された6年生理科のプログラミングに使えるのですが、基本的には光センサーで周囲の明るさを取得し、明るさに応じてLED1個をオン・オフするだけなので、物足りなさがあります。
もう少し発展的に、モーターを利用して何かを動かせたりすると、理科の授業以外でも活用でき、何より楽しそうです。また複数のLEDやモーターを扱えるとさらに応用が広がります。
・そういうのがあると良いのですがありません。ないものは作るしかない。ということでこのプロジェクトは始まりました。